乳がん患者の転職活動、その②。
そんな発表があったものだから、仕事がなくなることを覚悟していた私。
とにかく、自分がクビになる可能性や、どういう会社に転職したいかということを考えながら、日々を過ごしていた。というのも、発表されたのは組織図だけで、2名のうちどちらが残るかは分かっていなかったから。
すると、組織変更の発表から数週間後、上司と面談をした際に業務の一部が残るため、チーム2名のいずれも会社をクビになることはないとのこと。
数週間経ってから教えてくれるって、何んなんだ。
まじ、緊迫感溢れた数週間を返してくれ。
究極のツンデレ?(笑)
まあ、会社側もそれだけ混乱していたということだとは思います。
ただ、新組織になると業務内容が変わってしまう。
新しい業務内容は全く魅力がない。
自分のキャリアのプラスになると思えなく、今後のキャリアパスを描くことが全くできなかった。
他のポジションにチャレンジすることもできるけれど、どのポジションも魅力を感じない。
海外のポジションを受けるという選択肢もあると言われたけれど、自分の通院やカワイコちゃん(ネコs)のことを考えると、今は海外で働きたいとは思えない。
となると、やっぱり外に目を向けるしかない。
そんな時、日系の会社を1社ご紹介いただく。
さらに、外資系の会社の人事の方からも直接お声がけをいただいた。
この2社のメリットは正反対。
日系の会社。
たぶん安定した環境で、定年まで働ける。
何より、日本が本社。
自分で企画したモノを海外へ発信するというのは、絶対に楽しい仕事。
ただ、私が次のスキルセットとしてきちんと身に付けたいと思っていた経験とはちょっと違っていた。
もう1社は、外資系企業。
ココに行ったら、外資系という会社の性質上、またポジション消失などの可能性はある。
成果重視なので、とにかく結果を出し続けなくてはいけない。
とはいうものの、私が次のキャリアで得たいと思っていた経験やスキルを提供してくれる。
ポジションも給料も上がる。
うーん。
悩みますねー。
治療の真っ只中なら、間違いなく安パイな日系の会社を迷わず選んだでしょう。
なんてったって、もともとがファイター気質。
病気が治り、無治療になった今、外資でまだまだ働く自信もある。
で。
結果。
どこを選んだか気になりますか?
気になりますか?
知りたいですか?
日系の会社です。(笑)
でも、安パイだから選んだのではありません。
日系の会社には外資の会社にないメリットがあります。
私が思う一番のメリットは、本社組織にいる自分たちで意思決定ができるということ。
対して、外資は本社機能が外国にあるため、基本的な戦略や意思決定は本国で行われます。それ以外の国は、基本的には本社に従うのみです。(何も意思決定ができないワケではないですよ。)
外資、日系、いずれの企業でも働いたことはありますが、私は圧倒的に日系企業での仕事の方が楽しさを感じてました。
病気になったからこそ、楽しいと思える仕事をしたいと思ったのです。
外資でお給料とポジション上がって、ゴリゴリ働くより、日々の仕事に楽しさを感じながら働きたい。そう思ったんです。
外資なら、行きたいと思った時に、またいつでも行けそうだし。
でもね、内定をいただいた時にひとつだけドキドキすることがありました。
コレ、ほぼ1年前の話なんですけどね。
私、5月末に再建手術を予定していたのですが、先方からの強い要望で5月に入社してもらいたいと言われてしまったのです。
うーん、うーん、うーん。
再建手術のことを言うべきかどうか。
伝えるなら、どうやって伝えるのか。
悩むよねー。
手術するとか言ったら、健康に不安のある人って思われて、採用しないとか言われちゃったりしないだろうか。
ホントに悩みました。
いっぱい悩んだけど、きちんと伝えることにしました。
それでダメだったら、ご縁がなかったということ。
しょうがない。
また外資でゴリゴリ働けばいいや。
そして、人事の方に直接メールをしましたよ。
婦人科系の手術で開腹手術をするため(ちょっと違うけど)、1週間の入院+2週間の自宅療養が必要であり、5月入社であれば入院期間中の1週間はお休みがいただきたいこと。また、2週間は在宅勤務をさせていただきたいと。
ドキドキしながら先方のお返事を待っていた。
ダメって言われたらどうしよう、って。
そしたら、なんと、なんと、なんと!!!
言いにくいことを言ってくれてありがとうというお言葉と一緒に、同じ部署になる方からは「自身の経験より、術後は大事に過ごしてください」という優しいお言葉までいただきました。
さらには、入院で有給休暇の半分を使ってしまうのは、何かあった時に不安が残るので、体調が万全になってからの6月中旬入社で良いというお返事をいただくことができました!
無事、再建手術退院+自宅療養2週間後から、新しい職場で働き始めたのでありました。
約1年前の話。(笑)
転職活動を本格的に始めるとき、がんになってしまったことに対して、勝手に身構えてました。
今まで通りに働けないんじゃないか。
面接官にもネガティブな印象を与えるんじゃないか。
今になって考えると、がんを言い訳にして、少し逃げていただけのように思います。
がんは私の人生においては、ただの通過点でしかありません。
がん一色の人生を歩むつもりはありません。
がんになって、「死ぬかも」って思ったからこそ、嫌なことはやりたくない。
仕事においても、自分のやりたいことをきちんと目指して、楽しみたい。
そう考えられるようになって、良かった。
なので、もしもこれから転職活動や就職活動を考えている方がいらっしゃったら、前向きに考えてください。
がんになったからといって、ご自身の何かが変わった訳じゃないんだから。
価値観や人生観は変わったとしても、人生まで変える必要なんてない。
面白きこともなき世を面白く すみなすものは心なりけり。
私の大好きな高杉晋作の辞世の句であり、大好きな言葉でもあります。
病気になったら、ますます響きます。
現代風に言い換えると、
「面白いと思えることのない世の中を面白く。それを決めるのは、自分の心持ち次第である!」
どんな環境や境遇だったとしても、面白いって判断するのは自分の心だってことを言ってるんですよね、たぶん。せっかく生きているんだから、「面白くない」を「面白い!」に変えちゃえばいい。それが出来るのは自分だけ。
さて、これから私にはどんな面白い人生が待ってるんでしょう?
面白くするのも、できるのも、私だけ。
オラ、ワクワクすっぞ!
悟空かっ!
ぽちっ!