乳がんファイターDiary / Diary of Breast Cancer Fighter

独身、一人暮らし。働きながら遺伝性の乳がんと闘います。

乳がんファイターDiary / Diary of Breast Cancer Fighter in Japan

放っておいてほしい時もある。

こういう闘病ブログって、がん患者本人だけでなく、その家族だったり、友人とかも読んでたりするんですかね?読んでるかもって思いつつ、あくまでもワタクシゴトなので、お暇な方だけどうぞ。

また独り言を言ってみます。

 

がんに限らず、大きな病気になった人の心って、複雑なんですよね、たぶん。

だって、今まで「死」についてなんて、全く考えていなかったのに、突然「死」を意識させられるような病気になってしまうのだから。

 

そこで、がんを受容する心理過程について少し調べてみた。

がんの心理的受容過程については、キュブラー・ロス博士の「死の受容五段階」などいろいろあるみたいだけど、今現在、私は全く死を意識していないので、なんだかしっくりこない。がんになった人の心理推移というものが記載されているサイトがあったので、その内容に沿って、がん患者本人である、ワタシが実際に感じた気持ちの推移を書いてみる。(参考サイト:がん心理の推移【がん治療.com】

 

1.衝撃段階

がん患者の心は、告知されたときに大きく揺れ動く。

同病の友人の中には、目の前が真っ暗になった、崩れ落ちるような気持ちになったという人も聞く。

私の場合、針生検をする前に、エコーやマンモの結果を見ている時の医師の顔で、なんとなく悪性なんだろうなということが分かっていた。なので、がんを告知されたときには、既に覚悟ができていた。先生の表情を見てから、告知のタイミングまで時間があったので(針生検の結果が出るまでの期間)、自分なりに病気について調べ、絶対に治すという気持ちを持っていたのと、絶対に治るという、よく分からない自信を持っていたので、告知そのものでは、さほどショックは受けなかった。

ただ、今まで生活している中で意識することのなかった「死」が頭をよぎったときは、不安を感じた。

ショックを受け、大きな不安を感じるのが最初の段階。

 

2.不安定段階

不安になったり、落ち込んだりを繰り返す時。

この内容を抜粋したサイトには、動揺は告知後1~2週間続くと書いてあったけど、この不安定段階って、繰り返しやってくる気がする。

私の場合、前向きに治療に取り組んでいたとしても、例えば、抗がん剤治療で髪の毛が抜けて外観が変わってしまった時や、今まで経験したことのないような薬の副作用が出たときは、不安な気持ちが生まれた。なので、私にとって、「不安定段階」というものは、一定期間しかないというものではなく、健康な時とは違う自分に気づいたとき、繰り返しやってくるもので、未だに、たまにあるもの。

 

3.適応段階

不安定な時期が過ぎると、がんと戦っていこうという気持ちが芽生えたり、がんと共存しようと、前向きに考えるようになる。

今は、強い副作用が出るような、抗がん剤治療が終わったので、戦うというよりは、向き合うという気持ちの方が強いかもしれない。二度と抗がん剤治療をしなくてもいいよう、日々生まれるがん細胞とは、免疫アップして戦いますけどね!

 

がん患者は、このような心理的な過程を経て、気持ちが変化していくと考えられているらしい。ただ、さっきも書いたけど、個人的には2番目の「不安定段階」というのは、不定期で生じる感情のような気がする。だって、がんって、慢性疾患だし。頭痛が続くと「まさか!」なんていう不安な気持ちが生じるのは、致し方ないと思う。

 

そして、何で今更こんなことを書いているかというと。

病気を打ち明けた人が、定期的に病気のことを聞いてきてくれるのだけど、それに都度、答えるのがイヤな時もあるんですよね。病気のことをいろいろ聞かれると、思い出したくないなーって時もあったりする。もちろん、心配してくれているからだというのは、十分伝わってくる。

あと、だいぶ前なことなんだけど、今更ながら、手術・入院で長期(約3週間)のお休みを取ったということや、定期的に会社を休んでいることに気付いた人がいる。そういう人たちが、探りを入れてくるのが、今コレを書くきっかけになった、一番の理由。(笑)

つまり、放っておいてほしい時もあるということを伝えたい。

 

信頼して病気のことを打ち明けた人たち、心配してくれるのは分かるんだけど、コチラが病気のことを話さない限りは聞かないでほしい時ってあるんです。喋りたくないっていう時がある。

特に気持ちが不安定な時って、病気になった現実を受け入れたり、気持ちを整理している時だったりする。私らも人間なので、健康な人を羨んでしまうこともあったりするかもしれない。病気のことは、とにかく話したくない時があるということ、分かってほしい。

 

あと、病気や治療と向き合うだけで精いっぱいだったりするのに、良かれと思って言ってくれる言葉に傷ついたりすることもある。

 

例えば、私が病気を打ち明けた人に言われて傷ついた言葉は、

 

抗がん剤って身体に悪いらしいよ」 

⇒ 劇薬であり、身体に良くないということは、本人が一番よく分かっている。多くのエビデンスの元、私のがんタイプには最も適した治療だと思って、やっている。

 

「お母さんの友達は、結婚してるし、年だからもういいや!と言って、全部取っちゃったんだって」

⇒ 私も自分が乳がんになるまでは、いろいろなタイプの乳がんがあるとは知らなかった。知らないからしょうがないんだろうけど、治療方法に年齢は関係ない。病気や治療方法について詳しくないのであれば、励ましにならない可能性が高いので、何も言わない方がいい場合もあると思う。

 

「もしかして、ヅラ?」

⇒ 基本的にウィッグをかぶっていたことは周囲にバレていない(と思っている)。仕事の関係上、抗がん剤治療で定期的に休まなくてはいけないことを伝えた人に言われた言葉。治療の過程で脱毛をすることを知っているからこそ、出た発言だと思っている。今までと髪型の雰囲気やカラーが変わったので、冗談半分で言ったのだとは思う。でも、髪が抜けたり、ヅラがバレないだろうかとセンシティブになってるタイミングで言われると、メンタルが強いと言われる私でも傷ついた。

 

こんな感じで、病気のことを話したが故に、良かれと思って言ってくれる言葉に傷つくこともある。相手に悪気はないだろうし、励ますつもりで言ってくれている言葉も、心がデリケートになっている時は、傷ついてしまう時があるのだ。何も話さないことで、自分を守っているという場合もあるのだと思う。

 

もちろん、友達と楽しく過ごしている時は、病気のことを忘れたい時だってあるし。

 

心配で、今の状況とか知りたくなる時もあると思うけど。

ワガママかもしれないけど、病気になった側が何も言わない時は、敢えて放っておいてあげてほしい。ただ、ただ、側にいてもらって、寄り添ってもらえるだけで、安心できるんです。

 

あと、もしも病気を打ち明けられた後に、何も話してくれなくなった、なんて思う人がいたら、あまり気にしなくていいと思います。

病気になった人は、不安定な気持ちを処理している最中なのかもしれない。

事実を反芻して、飲みこんでる最中かもしれない。

話さないことによって、自分を守っているのかもしれない。

だから、そんな時は、そっとしておいてあげてください。

病気について触れずに、一緒に過ごしてあげてください。

別に、距離を置いているワケではないです。

何も言わずに、一緒に楽しい時間を過ごしてくれるだけで、感謝の気持ちでいっぱいです。

 

でもね、本当に心配して聞いてくれる人と、ゴシップ的に、ただ知りたいから聞いてるんだろうなーっていう人がいて、その違い、なぜか分かるんだよな。

病気になると、そういうアンテナが働くんですかね?

定期的に会社を休んだり、通院しているのに気付いちゃった人。

本人に聞いてみたけど、理由を明確に教えてもらえなかった場合は、察してください。(笑)

 

こんな感じで、がん患者な上に、女心も持ち合わせているので、私たちの心模様は秋の空以上に複雑なんです。なので、たまに放っておいてほしいと思うことがあるのは許してください。

 

まあ、あくまでも、私の場合ですけどね。

全ての人に当てはまるワケではないと思いますが、こんな人もいるというご参考までに。